がんについて

がんについて

現在、日本における死亡原因の第1位はがんですが、医療の進歩によりがんの早期発見・早期治療が可能となる場合もあります。そのためには、定期的な検診が大切です。がんは、決して他人事ではありません。まずは、がんについての正しい知識を知り、予防することも心がけましょう。

がんにかかる確率

がんにかかる確率は80歳までには男性40%、女性27%で、生涯を通じて男性60%、女性45%と推計され、2人に1人は、一生のうちに何らかのがんにかかるとされます。誰にとっても、決して他人事ではないことがいえます。

2人に1人は、一生のうちに何らかのがんにかかるとされる

部位別 がん死亡数

部位別のがん死亡数では、男性では1位肺がん、2位胃がん、3位大腸がん、4位肝臓がん、5位膵臓がん。
女性では1位大腸がん、2位肺がん、3位胃がん、4位膵臓がん、5位乳がんとなっています。
胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんは当院の専門とする消化器がんです。

男性 女性
1位 肺がん 大腸がん
2位 胃がん 肺がん
3位 大腸がん 胃がん
4位 肝臓がん 膵臓がん
5位 膵臓がん 乳がん

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早期のがん・進行したがんを合わせた、がんにかかった人の6割以上が診断から5年後にも生存しています。
がんは今や死に至る病気とは言えません。
上記の様に日本ではがんによる死因として胃がん、大腸がんが上位を占めていますが、これらは早期に発見すれば食道がんも含めて内視鏡的治療で治癒することも可能です。

がんの発生要因

がんの発生要因の多くは遺伝的要因ではなく、生まれてからの後天的環境要因によります。

ハーバード大学の推計によるがん死亡原因の割合

アメリカ 喫煙30%、成人期の食事・肥満30%、ウィルス・他の生物因子5%、飲酒3%、直接の遺伝要因5%
日本 喫煙23%(男女別では男性34%程度、女性6%程度)、感染性要因22%、飲酒6%、塩分摂取1.4%、受動喫煙0.9%、過体重・肥満0.8%、果物摂取不足0.8%、野菜摂取不足0.6%、運動不足0.3%

2009年 国際がん研究機関(IARC)によるがんの因果関係評価

喫煙 口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、大腸、肝臓、膵臓、腎臓、尿管、膀胱、子宮頸、卵巣、骨髄性白血病に対して発がん性があると判定されています。また受動喫煙は肺がんに対して発がん性ありと判定されています。

当院ではがんの予防として禁煙外来を行います。

飲酒 口腔、咽頭、喉頭、食道、大腸、肝臓、乳房に対して発がん性ありと判定されていて、男性飲酒者においては飲酒量に比例したがんリスクの増加が観察されています。日本人の男性がん死亡の約9%は飲酒が原因との報告もあります。
細菌・ウイルス

がんの原因となる細菌・ウィルスが分かっています。

  • ・ヘリコバクター・ピロリ菌
    →胃がん
  • ・ヒトパピローマウィルス
    →子宮頸がん
  • ・B型、C型肝炎ウィルス
    →肝臓がん
  • ・ヒトT細胞性白血病リンパ腫ウィルス
    →白血病

当院ではヘリコバクター・ピロリ菌の治療が可能です。

当院ではB型、C型肝炎ウィルスの治療が可能です。

2007年 世界がん研究基金と米国がん協会による食物・栄養・身体活動とがん予防

がんと関係しているもの
リスクアップ
肥満
食道がん、大腸がん、乳がん、子宮体がん、腎臓がん、膵臓がんのリスク↑
内蔵脂肪、赤肉、加工肉(ソーセージやハム)
大腸がんのリスク↑
リスクダウン
運動
大腸がんのリスク↓
がんと関係している可能性が高いもの
リスクアップ
塩分
胃がんのリスク↑
成人期の体重増加
乳がんのリスク↑
リスクダウン
果物
口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、肺がんのリスク↓
デンプン低有量野菜(ブロッコリー、キャベツ、ケール、ロメインレタス、大豆、ピーマンなど)
口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がんのリスク↓

がんの予防

がんの予防は生活習慣にかかわる要因のコントロールが主体のため、個人の努力で対処するものと考えがちですが、生活環境改善を促すための環境整備も重要です。

科学的根拠(EBM)に基づくがん予防法

1たばこは吸わない、他人のたばこの煙をできるだけ避ける
たばこは、多くのがんに関連します。受動喫煙でもがんのリスクが高まるため、ご自身や周囲の方のためにも、禁煙・分煙に取り組みましょう。

禁煙外来について
2節度のある飲酒
多量の飲酒でがんのリスクが高くなります。飲む場合は節度のある飲酒を、日頃から飲まない・飲めない方は無理に飲まないようにしましょう。
3食事は偏らずバランスよくとる
塩蔵(塩漬け)食品、食塩の摂取は最小限にすること、野菜や果物摂取不足にならないこと、飲食物を熱い状態でとらないことを心がけましょう。
4身体活動としての日常生活を活動的に
身体活動が高い人は、がんだけでなく死亡全体とした場合のリスクも低くなります。可能な範囲で身体を動かし健康に繋げましょう。
5肝炎ウィルスとピロリ菌の感染検査を受ける
これらの病原体の感染が、がんの原因にもなります。定期的な検査と、感染がある場合は早めの治療を行いましょう。

肝炎ウイルスについて

ピロリ菌について

上記の健康習慣を実践することで、がんになる確率を低くしていくことが可能です。