肝臓内科

自己免疫性肝炎

中年女性に多く、抗核抗体を始めとする自己抗体が陽性・慢性的に経過する肝機能障害、血中γグロブリンが高値、ステロイド治療がよく効く。こういった場合は自己免疫性肝炎を考慮することになります。

自己免疫性肝炎の病因は不明ですが、免疫寛容システムの破綻による自己免疫機序の関与が想定されています。また特定の遺伝因子を持つ個体(遺伝要因)に、何らかの誘因(環境要因)が加わると発症すると推定されています。

A型、B型、C型及びE型肝炎ウィル、EBウイルス、麻疹ウィルス、サイトメガロウイルスといったウイルス感染やミノマイシン、イソニアジド、メチルドーパ、インターフェロン、アトルバスタチン、抗TNFα阻害剤といった薬物が誘因となって発症することがあるといわれています。

自己免疫性肝炎の診断

  • 1他の原因による肝障害が否定される
  • 2抗核抗体陽性あるいは抗平滑筋抗体陽性
  • 3IgG高値(>基準上限値1.1倍)
  • 4組織学的にinterface hepatitisや形質細胞浸潤がみられる
  • 5副腎皮質ステロイドが著効する
典型例
上記項目で1を満たし、2~5のうち3項目以上を認める
非典型例
上記項目で1を満たし、2~5の所見の1~2項目を認める
  • 典型例、非典型例ともに、治療開始前に肝生検を行い、その組織所見を含めて診断することが原則です。ただし治療前に肝生検が施行できないときは診断後速やかに治療を開始します。
  • 国際診断スコアが計算できる場合にはその値を参考とし、疑診以上は自己免疫性肝炎と診断する。
  • 急性発症では、上記項目2、3を認めない場合がある。診断が確定したら、重症度評価を行う。
  • 原発性胆汁性肝硬変が疑われる場合でも簡易型国際診断基準スコアが疑診以上の場合には副腎皮質ステロイド治療を考慮する。自己免疫性肝炎での抗ミトコンドリア抗体陽性率は約10%である。

診断指針、スコアリングシステム

1999年改訂国際診断基準が発表されましたが、検討項目が多く、日常診療の利便性に欠けるとの批判をうけ、2008年に簡易型国際診断基準が作成されました。

1999年改訂国際診断基準と2008年簡易型国際診断基準との使いわけとして改訂国際診断基準は診断感受性に優れ、自己抗体陽性、IgG高値などの所見が目立たない非典型的症例も拾い上げて診断ができます。

一方、簡易型国際診断基準は自己免疫性肝炎類似疾患と真の自己免疫性肝炎の鑑別に有用ですが、簡易型では非典型症例を見落とす可能性があることを念頭に置く必要があります。

自己免疫性肝炎は自己抗体の出現パターンにより、抗核抗体、抗平滑筋抗体が陽性の1型とLKM-1(抗肝腎ミクロソーム)抗体陽性の2型に分類されます。日本では1型がほとんどで、2型は極めて稀とされています。

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