消化器内科

胃がん

「胃がん」は2012年には世界で952,000人に発症しており、その半数は東アジアでみられ、次いで中央・東ヨーロッパ、中南米に多く、男性の発症率は女性の2倍であるとされています。胃がんの大部分は腺がんで、病理組織学的には分化度(がん細胞がどのくらい元の正常な細胞の特徴を残しているか)の高いものと低いもの(低いほど悪性度が高い)に分類できます(図1)。

図1)腺がんの細胞の分化度

未分化型はがん細胞の増殖が早く進行が早い

胃粘膜がヘリコバクター・ピロリ感染等による慢性的な炎症をきたして引き起こされる突然変異や、DNAメチル化異常が胃がん発がんにつながるケースが多いとされており、ヘリコバクター・ピロリの治療(除菌)が胃がんの発生を抑える可能性があります。

胃がんにかかる人は40代から増え始めます。早期の胃がんは自覚症状がでることがあまりないのが胃がんの怖いところです。胃の不調がきっかけとなり、たまたま内視鏡検査を受けた結果、胃がんが見つかることもありますが、内視鏡検査を受ける機会がなければ早期で発見するのはなかなか難しいです。

ピロリ菌に感染していることは胃がんにかかりやすい要因で、その様な方は定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。胃カメラは苦しいと敬遠される方も多いと思いますが、当院では口から入れる従来の方法に加え、鼻から入れる細い内視鏡を使用したり、鎮静剤を使用することによって比較的楽に受けることができます。

早期の胃がんであれば内視鏡治療でお腹に傷をつけずがんを切除し、完治が可能です。
大きさや深さによっては胃を広範囲に切除する手術が必要となるため、積極的に健康診断を受け、早期発見に努めることが重要です。

NBI拡大内視鏡による胃の粘膜の観察
血管と表面の構造に着目します。V(微小血管構築像)とS(粘膜表面微細構造)によるVS Classificationによる胃がんの診断を行います。VとSの判定はそれぞれregular、irregular、absentに分けて行います。病変と背景粘膜の間に境界線(Demarcation line:DL)が存在し、DLの内側にirregular(不整)な微小血管構築像、粘膜表面微細構造のいずれかもしくは両方存在する場合には胃がんと診断します。
主な症状
胃や胸のもたれ、不快感・みぞおちの痛み・吐き気やゲップ・食欲不振・黒色便・体重減少・貧血 など
検査方法
X線検査・内視鏡検査・生検・便潜血検査・CT検査

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